溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
金曜日の晩とは言っても、濠には休日前のゆっくりしたものではなく、相変わらず忙しい日々の単なる一日を終えただけの晩。
私とのんびりまったりと過ごせるなんて滅多にない。
私も忙しくて家事にじっくりと向かい合う事もできないし濠に妻としての優しさや気遣いを届ける事もなかなかできない。

入籍してから半年、予想通りの私の仕事への取り組み方への大きな変化と予想外の濠の忙しさ。

もともとホテルの中ではかなり重いポジションに就いているんだろうとは思っていたけれど、結婚と同時に昇進してしまったせいで以前とは比べられないほど忙しく仕事を抱えている。
海外出張もあったし家に帰れない夜も結構あった。

疲れた体で帰って来たら、濠の胸に包まれる事だけが私の癒しなのに。
二人で笑いながらホッとする事の為に帰って来るのに…。

なかなか思い通りにはいかなくて。

「今日も私の方が早かったな」

ぼんやりとつぶやきながら、コンビニで買ってきた袋をリビングのテーブルに置いた。

時計はもうすぐ日付が変わるって教えてくれる。
金曜日だから私は休日前の開放感を感じるけれど、濠はそんな余裕もないはず。

濠が今週ちゃんとその日のうちに帰ったのは確か火曜日だけ。

体大丈夫なのかな。

小さくため息をついて、切なくなった。

どんなに長く寄り添っていても、私はやっぱり濠と限りなく一緒にいたくていたくて仕方がない。

10年以上愛し愛されていても、その気持ちは変わらない。
逆にもっと愛してる。

人の気持ちは簡単には変わらない事に気付かされて、たまらなく濠が愛しい。

なかなか思うように会えなくて、寂しいけれど。

やっぱり濠を愛して愛してたまらない。

多分ずっと変わらない。
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