溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
決して短くない時間を一緒に過ごしてきたから。

濠の事を愛し過ぎてしまったから。

フランスに行ってる間…選択肢を作っておくから。

私の為を思って、罪悪感を背負ったままに愛している濠に選択肢を用意するから。

だから。

一旦私が濠から離れる事を受け入れて欲しい。
自分の心をよく見つめて単純に私の側にいたいかどうかを…。

まだまだ若くて気持ちのぶつけ方を知らなかった頃の後悔を抱えて、罪悪感に縛られたままに私を愛するんじゃなくて。

唯一。

私を愛してるという感情
のみ。

その気持ちだけを私に与えて欲しいから。

選んで欲しいの。

雪美さんが言っていたように本当にお見合いをしたのかは聞けずにいるけれど、もし実際にお見合いをしたのなら。

私と寄り添う以外の人生を受け入れるっていう選択。

濠がこれから先の長い人生の選択肢を求めているなら、私はそれを受け入れるしかないから。

あまりにも濠を愛し過ぎてしまって、そんな私の決意を直に話す勇気はないし強くもなれないから。

ごめんね。黙って一旦離れるから。
本当にごめんね。

「じゃ、ちゃんと食べろよ」

スーツを着た濠はいつものように笑って、玄関で私を抱き寄せた。
軽く唇を落とされただけで額を合わせて

「寂しくてもちゃんと食べろよ。
いつも俺が帰って来たら痩せてるだろ?」

ぐっと腰を引き寄せられて抱きしめられると、甘い濠の香水の香り。
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