溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



さすがプロ。

『全てお任せパック』で お願いしていた引っ越しは、あっという間に荷物の搬出が済んで、既にトラックは新居に向かって出発した。

濠との思い出が10年分詰まっていたこの部屋には何も残ってなくてあっけないな。

大学時代から住んでいたこの部屋で、初めて濠に抱かれたのは20歳の時。
偶然再会した夜…そのまま離れたくなくて一緒に過ごしたのが始まり。

『溺れる』

という表現がぴったりで、いつまでもいつまでも濠の懐に溺れたまま。

私にとって生きる事は、
濠に纏わり付いて溺れる事だと。

…やだな。

熱くなってくる瞳の奥をぐっと堪えて、ベランダから見える景色をぼんやり見ていると

「さ、私達も出発しようか」

掃除を手伝ってくれてた悠里。
せっかくの休日なのに、喬と一緒に引っ越しの手伝いに来てくれた。

「私もしょっちゅう来てたし、何だか寂しいよ。納期に間に合わなくて透子に手伝ってもらって必死で図面ひいたりしたし」

くすっと思いだし笑いをする悠里ともこの部屋でよく一晩中飲んだりもしたな…。
傍らで濠が苦笑してたっけ。

一緒に暮らしていたわけじゃないけれど、お互いの部屋で一緒に過ごす事が当たり前になっていた濠の笑顔や声は、私の思い出のいろんな場面で現れる。

思い出す度心がきゅっと切なくなって、どれだけ濠を好きなんだろうって気付く。
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