溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
喬の車で新居に着くと、既に私の部屋への搬入は始まっていた。
新しい部屋は2LDKでロフト付。
一人で住むには十分過ぎるくらいの広さ。
会社が借りているこの部屋。
異動が決まってから、人事から住居を近くにするかどうかを聞かれた時には引っ越すかどうか迷った。
以前の部屋からの通勤だって可能な距離の異動だし、長く暮らした部屋に愛着もあったし…。
濠との思い出が詰まった部屋には特別な思い入れもあるから。
一度は引っ越しはやめようと思ったけれど、新しく上司となる相模さんからかけられた言葉で引っ越しを決めた。
「大賞とったら、ある意味人生変わるし忙しくなる。会社に近い部屋の方が楽に集中できるぞ」
デザイン大賞をとるという事は、栄誉であり誰もが切望する夢。
設計デザインを商業的な部分と想像的な部分でうまく融合させて。
現実の世界に直結できる作品。
理想だけではなく、ちゃんと暮らしの中に受け入れてもらえる作品に対して贈られる賞。
そして、受賞者は。
在籍する会社の枠を離れて仕事をしていく事になる。
受賞後に求められるレベルと出さなくてはいけない結果のプレッシャーに耐えながら…。
そんな状況を知り抜いている相模さんだから。
歴代最年少で大賞を受賞している相模さんの言葉は重くて、引っ越しを決めた。