溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
三人で見つめている手紙には

『俺の荷物もちゃんと運ぶ事。

無理せずのんびり片付けろよ』

と綺麗な文字。

「…これって…濠さん
今日の引っ越しの事知ってた…んじゃないの?」

驚いて、途切れ途切れの悠里の言葉が私の感じていた事と重なって、

やっぱりそうなのかな…

と納得しそうな気持ちになる。
その気持ちを受け入れても、あまり驚かない自分に気づくけれど…。

「今朝フランスに出かける直前まで、何か気になってるっていうか…。
濠にしては落ち着かない様子だったのが気になってたんだ…」

思い返すと。

出張に出る時には、普段以上にあっさりと

『すぐに帰ってくるし』

軽く出掛けてる濠なのに、玄関で見送る私の顔をじっと見つめたまま何かを待つように…思いを残すかのように出掛けて行ったのがずっと気になってて。

「…やっぱり気づいてたのかな…」

力無くぼそっと呟く私の心は重い…。

何度思い返しても浮かぶ濠の切なく笑いながら出かける顔…。

スーツケースを転がしながら

『行ってくる』

と言った時…どんな事を考えてたの?
私に何かを期待してた?

引っ越しの事…私が言うのを待ってたの?
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