溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「濠…」

混乱する気持ちをどうしていいのかわからなくて、ぼんやりしてしまう私の手から手紙を取り上げた喬は、

「あれだけ透子を大切にしてくれてるのに…俺は濠さんに同情するよ。
何よりも透子の事を考えて生きてるのまるわかりだっていうのに…こんな裏切られ方されて」

きつく睨む視線を向けられて、瞬間傷つく心。
厳しい言葉も私を追い詰める。

どうしようもなく落ちていく気持ちに歯止めがかからない。

「それに…」

冷たい言葉はまだ続いたまま、喬は私の左手を掴んだ。

「この指輪だって、濠さんとお揃いなんだろ?
黙って引っ越すような事するなら指輪外すくらいの覚悟決めろよ。

…男を試すな」

「喬っ…言い過ぎ」

慌てて喬の言葉を遮る悠里だって、苦しそうな顔をしている。

きっと喬と同じ気持ちなんだろうな。

掴まれたままの左手の薬指には、かなり前に濠からもらったプラチナリングが光っている。
小さなダイヤの石が光るリングは、まるでマリッジリングのようで、会社でも私が結婚していると勘違いしている人も少なくない。

ダイヤがついていないだけのお揃いのリングをつけている濠も、既婚者だと誤解される事が多いと笑っていた。

『お互い唯一の相手なんだし、誤解されてもいいさ。
誤解を真実にするなら俺はいつでもいいぞ』

軽く言い切る濠からは、いつでも結婚していいと、そんな想いをずっと感じてた。



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