溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠の事しか考えられない気持ちで寝てしまったから、遠い昔を思い出したのかもしれない。

濠と出会って恋をして。

切ない想いと優しい毎日を初めて経験した15歳の
私。

私の心臓に限界がきて、倒れてしまった衝撃がきっかけで、濠は声が出て…耳も聞こえるようになったなんて皮肉な話。

『透子が倒れていく瞬間の、吐きそうな心臓の痛みは忘れられない』

時々そう言って顔を歪ませる濠は、未だに私があの日倒れたのは。

あの瞬間私の心臓がだめになりそうになったのは自分の態度の冷たさが原因だと思っていて、不必要な罪悪感と後悔に責められてる。

そうじゃない。

もともと、いつ発作が起きてもおかしくない私の心臓の手術を翌日に控えていて、ちょうど濠の目の前で倒れてしまったのは偶然なのに。

『俺が子供みたいに拗ねたから…ショックで発作が起きたんだな…』

再会した後そう言って苦笑した濠。

拗ねるっていう意味がわからなくて戸惑う私に。

『高校生のガキだったからな。
透子が俺の友達と話すのが気にいらなかったんだよ。
何話してるのかも聞こえなかったし。

透子を取られるみたいで嫌でたまんなかった』

そんな感情も、大人になれば隠す術なんて誰もが持ち合わせていてうまく対処できるようになる。

けれど、高校生だったあの頃の濠には、冷たい態度で背を向けて私を拒否するしかできなかった。
< 73 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop