溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
『俺の寝室のクローゼットにあるお祝いの包みを健吾に渡してくれ』
…は?
何度か読み返したけれど、やっぱり内容は変わらない。
健吾さん…って、あの弁護士の…。
濠の大学時代からの親友の野崎健吾さん。
私も何度か会った事がある格好いい人。
一緒に書かれている待ち合わせ場所は、濠の部屋から近いカフェ。
時間まであまり余裕がなくて少し焦り気味に寝室へ。
クローゼットの手前の棚に置かれている包み。
手に取ると、意外に重くてびっくりする。
動物や花のかわいい絵が散っている包装紙に赤いリボン。
もしかしたら絵本かな…?
健吾さんの奥さんの柚さんが、最近出産したって聞いたから、そのお祝いかな。
自分で直接渡せばいいのに。
そんな疑問を持たないわけじゃないけれど、約束の時間が迫っていて、とりあえず着替えなきゃ…。
準備をしながら濠の部屋の戸締まりもして…。
何だか気づいてしまった。
『俺の部屋に行って』
なんて言葉は『宿題』に書いてなかった。
まるで濠の部屋に私が来ている事をわかっていたかのような文…。
健吾さんにお祝いを渡すようにってそれだけ。
まぁ…確かにあの文を読んでから濠の部屋に行くっていうのもありだけど、私が濠の部屋に予め来ているっていうのを前提にしているようで…。
見透かされてる私の事。
ほんの少し…こっぱずかしい。