溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
カフェに入ると、奥の席で雑誌を読んでいる健吾さんに気づいて近づいた。
気配に視線を上げた健吾さんは、優しく笑ってくれた。
今までの整った顔に冷めたイメージで、佇む雰囲気は近寄りがたい雰囲気も多少あるけれど。
「わざわざ悪いね」
声も温かくて、これまでの印象とはかなり違っていて驚いた。
仕事の途中なのか、スーツを軽く着崩して明るく私を迎える顔は、今までになく幸せそうに見える。
「遅くなってすみません」
軽く頭を下げて向かいの席に座ると、
「濠に頼まれたんだろ?せっかくの休みなのに。
で、あいつはフランスで大好きな仕事を満喫してるんだろ」
くくっと笑う健吾さんは、どこか濠の雰囲気に似ていて、心なしかホッとする。
大学からの付き合いで、お互い似てくるのかな。
心全てを解放して他人を受け入れる気軽さは二人にはないけれど、一度懐に入ればずっと大切にしてもらえる安心感がある。
「あ…これ、濠が用意していたお祝いです…」
かばんから出した包みをテーブルの上に置いて、そっと健吾さんの方に差し出した。
「ありがとう。…何がいいか聞かれてリクエストしたんだ」
「…そうなんですか…」
受け取った包みを嬉しそうに見つめた後、丁寧に
包装を解いて出てきたのは、やっぱり絵本。
5冊のカラフルな表紙が並ぶと健吾さんの顔がほっこりと緩んだ。