溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「相変わらず透子ちゃんにべた惚れみたいだな」

「はっ…?」

ぼんやりと、濠と偶然再会したあの晩の事を思い出している私に、健吾さんは軽く言葉を投げてきた。

甘く懐かしい思い出の記憶を一旦切って、健吾さんを見ると。

「本当なら、俺と柚からも透子ちゃんにお祝いしなきゃいけなかったんだけど。
改めて今度用意するから。
濠も自分が帰ってからにしてくれって昨日言ってたし」

「あの…。お祝いって一体…?」

「昨日新聞発表で見たよ。設計デザイン大賞とったんだな…おめでとう」

あ…。

そうだった。昨日の新聞発表の後の反響は大きくて、携帯の着信やメールの数がかなりのものだった。

引越しの合間に電話に出たりメールに返信したりとばたばたしてた…。
今日はかなり落ち着いているけど、明日会社に行ったら…と思うと少し恐ろしい。

「濠も電話で喜んでたよ。空港からの電話でゆっくりは話せなかったけど、透子ちゃんの事、いつも以上にのろけてた」

呆れ顔で笑う健吾さんは、私にもからかうような目を向けてる。

「え…っと…」

何だか健吾さんの言ってる事が…あまりに予想外の内容で…。
頭が混乱してどう答えていいのかわからない。
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