溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「昨日、出張に行く前に濠から電話があったんだよ。
透子ちゃんにお祝いを預けたから受け取れって。
まあ、今日会う約束はしてたんだけど突然言われたから驚いたよ。

それより、大賞とったらこれから大変だな。
濠との結婚遅れるだろ。
濠の奴は昨日飄々と笑ってたけど」

濠は、私が大賞を取った事…知ってフランスに行ったらしい…。
昨日の朝刊に記事が出たから…気づいてもおかしくない。

「あの…」

体中が固くはりつめた緊張感に包まれたような、心臓の不規則な鼓動に支配されたような感覚の中で…ようやく出たのは微かに震えた声。

「あの…。濠は…電話でどんな感じでしたか…?」

「え…濠…?」

「はい…。大賞とった事何か言ってましたか?」

気弱に伺う視線の私に、怪訝そうな様子で首を傾げると、

「…濠には、言ってなかった?」

のんびりと座っていた健吾さんは、私にもわかるくらいに体をまっすぐ座り直して私を見た。

「濠には、私からは直接言ってなくて…。
知らずに出張に行ったんですけど…」

「そうか…。
まぁ、公表前だから言えなかった…?」

「いえ…あの…。
何だか言えなくて…」

小さな呟きを聞き取ってくれた健吾さんは、小さく眉を寄せて考えこむと。

「…昨日の話し方じゃ、濠は前から大賞受賞の事知ってるようだったけどな…」

え…?
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