溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
そんな生き方を疑問に思わなかったのは、ただ私が濠を愛してるから。

高校生の時に離れてしまった後も、いつか必ず二人の人生は交じり合うと根拠のない確信を持っていたくらい、絶対的な存在の恋人。

濠も私を大切に思ってくれているのがわかるから
濠によって変えられていく私自身が嫌じゃなくて逆に気に入っていた。

私の何もかもを知っていないと不安定に感情を揺らす濠の愛し方は、重くもあり安心感のある暖かさ…。

それなのに…。

私が大賞を受賞したって知っていながら…。

何も言わずにフランスに行ってしまった。

今までの濠なら、真っ先に私に確認して喜んでくれたはず。
私の全てを把握していないと落ち着かない濠とは違う、最近の濠の変化を確信して、気持ちはどんどん落ちていく…。

昔みたいに、もう…私を縛りたいほどの愛情はないのかな…。

私以外に興味を持つ人が
いるの…?

ふっと浮かぶのは…雪美さん…。

「透子ちゃん?」

「あ、すみません」

ぼんやりしてしまう私に苦笑する健吾さん。

「透子ちゃんの事になると、濠は際限ないからな」

「…?」

「濠と俺が知り合ったのは大学の時で」

突然思い出すように話し出す健吾さんに、どう反応していいのかわからないまま…。
私は運ばれてきた紅茶に手を伸ばした。

「俺と濠は…正直言って。透子ちゃんや柚…俺の嫁さん…に軽蔑されてもおかしくないほどの遊び方をしてたんだ…」

一瞬で健吾さんの周りの空気が変わって…。
少し聞くのが怖いけど…聞かなきゃいけないと思わせる健吾さんの話を聞いた。

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