*銀狼-ギンロウ-*

「何か言えよ…」

サクの目にはうっすらと、涙。
ずっとずっと傷付けていた。

こんなにアタシを想ってくれていたのに。



「ごめんなさい…」


ごめんなさい。
ごめんなさい。


でもカイが好きなの。
好きで好きでたまらないの。


「もー…いいよ。もう勝手にしろよ」


サクは屋上の扉に向かって歩き出した。


アタシの目からも涙が溢れる。


サクがいなかったら、アタシはもうほんとにひとりぼっちだ…。



「…サク!」
アタシはたまらなくなって叫んだ。

サクは少し振り向いてアタシを見た。


「あ…ありがとう!」

アタシは精一杯の笑顔で言った。

サクは何も言わず出ていった。

取り残されたアタシはひとりぼっちで泣いていた。


< 132 / 223 >

この作品をシェア

pagetop