*銀狼-ギンロウ-*
「何か言えよ…」
サクの目にはうっすらと、涙。
ずっとずっと傷付けていた。
こんなにアタシを想ってくれていたのに。
「ごめんなさい…」
ごめんなさい。
ごめんなさい。
でもカイが好きなの。
好きで好きでたまらないの。
「もー…いいよ。もう勝手にしろよ」
サクは屋上の扉に向かって歩き出した。
アタシの目からも涙が溢れる。
サクがいなかったら、アタシはもうほんとにひとりぼっちだ…。
「…サク!」
アタシはたまらなくなって叫んだ。
サクは少し振り向いてアタシを見た。
「あ…ありがとう!」
アタシは精一杯の笑顔で言った。
サクは何も言わず出ていった。
取り残されたアタシはひとりぼっちで泣いていた。