*銀狼-ギンロウ-*
何だか苛々する。
この女にも、自分にも。

思い出せたら楽になれるのかな。

時々見舞いに来る“カイ”のチームの仲間達に、申し訳なく思わなくてすむかな。


俺に何も求めるな。
俺は“カイ”だけど“カイ”じゃない。


いつか“カイ”を思い出したら。
今の自分はいなくなるんだろうか。


でもみんなそれを待ってるんだろうな。


「カイ…」

「あ?」

「アタシにとってカイはカイだよ。前のカイも今のカイも、カイ。記憶が戻ろうが戻らないだろうがアタシには関係ないんだよ」


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