*銀狼-ギンロウ-*
「紗耶香、よく聞け」

「ん?」

「…もうひとりの俺からの、伝言」


「え…」


さっきポケットの中に見つけた、紙切れ。

―いつ書いたんだよ、お前。



“サヤカスキダヨ”


書かれた文字は震えていた。



紗耶香はその紙切れを俺から奪って、見つめていた。


「…カイ…」


紗耶香は涙をポロポロ落とした。


なぁ、“カイ”。
お前、どんな奴だったんだろな。
俺、ちょっとだけお前に会ってみたかったよ。


カイ。
ありがとう。


これからは一緒に生きていこう。



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