*銀狼-ギンロウ-*
「紗耶香」
「ん?」
紗耶香は俺を見つめた。
紗耶香の瞳からは涙が溢れていた。
「アイツのこと…。“カイ”のこと好きだった?」
「好きだったよ」
一呼吸置いて紗耶香は言った。
「でも、アタシが心から好きって思えるのは今目の前にいるカイだけだよ」
紗耶香は俺の手を握りしめた。
「ずっと言いたかった。言えなかったの後悔してた。…すき。カイ」
俺は堪らなくなって、紗耶香を抱き締めた。
「俺も。いつの間にかお前のこと好きになってた」