*銀狼-ギンロウ-*
「ね、カイ」
紗耶香は俺に抱きつく。
「あ?…どした」
「…だいすきだよ」
大好きで。
好きすぎて。
想いがこぼれ落ちてしまうほど大きくて。
幸せすぎて。
不安になる。
この幸せは夢なんじゃないかと。
神様が俺らに見せてる幻想なんじゃないかと。
だから抱きしめる。
君を感じる。
ほら、確かに君は存在しているんだ。
「俺も愛してる」
ねぇ。
愛、って。
まだどういうものか分からない。
でもこうやってきみを
抱きしめたい気持ちは
嘘じゃない。
これこそが愛なんじゃないかと俺は思うよ。