*銀狼-ギンロウ-*
「…お前は忘れないでやってくれ。“カイ”はまだ生きてんだ、俺の中で。…俺だって忘れねぇよ」


ああ、忘れない。
一生、な。


リナは小さく呟いた。


「…そうだね。忘れない限り、カイは生きてるよね…」


「ああ…」


残酷なことを言ったのかもしれない。

俺はまだ生きている。
“カイ”はもういないのに。


生きている俺を見るのは、リナには辛いことかもしれなかった。



< 197 / 223 >

この作品をシェア

pagetop