*銀狼-ギンロウ-*




「…カイ」

いつの間にか俺の隣には紗耶香が座っていた。

真っ暗な病院の待合廊下。
2人だけが座っていた。


「…リナは?」
「まだ集中治療室だよ」
「…そっか」

紗耶香は化粧が涙で落ちていて、ぐしゃぐしゃだった。


「…ごめんな紗耶香。俺のせいでこんなことになっちまって」


「…カイのせいじゃないよ」
紗耶香は俺の手を握りしめた。


「カイのせいじゃないよ…」


< 219 / 223 >

この作品をシェア

pagetop