*銀狼-ギンロウ-*
「…いい?」


付き合って初めてのお泊まり。
アタシたちはいつも一緒にいるのに何だか緊張する。


アタシは頷く。


サクがキスをする。


優しくアタシに触れる。


「紗耶香…好き」


カイは好きなんて言ってくれなかった。
アタシもそんなこと言わなかった。


最初に体を重ねたときもアタシたちに愛なんかなかった。


愛なんかなくても、幸せだった。



そのとき、携帯が鳴った。


懐かしい着信音。


“カイ”専用の着信音。


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