*銀狼-ギンロウ-*
無意識にそう答えてしまっていた。

行ってはダメだと分かっていたはずなのに―…。





「あ、電話、誰からだった?」

アタシがサクの部屋に戻ると、サクはアタシを見て待ちわびたかのように言った。



「あ…。友達。幼なじみが怪我しちゃったみたいで、今からちょっと行かなきゃいけなくて…」


サクの目を見れない。
決して嘘はついていない筈なのに。


「…それは絶対紗耶香が行かないといけないの?」


「それは…」


「行くなよ。今日は俺との約束が先だろ」


< 73 / 223 >

この作品をシェア

pagetop