白い薔薇
「はぁ…」
盛大なため息を吐いて、わしゃわしゃと自分の髪を掻く。
やっぱ、帰ろっかな…。
楠木、来ないし。
「ね、キミが夏輝ちゃん?」
ふいに、後ろから声を掛けられた。
振り返ってみれば…、中年のおっさんがニコニコしながら立っていた。
「あんたが、楠木…?」
「そーだよ。それにしても、話の通り口が悪いね」
へーへー。
悪ぅございましたー。
こんな奴が、父さんの友達…?
なんか、イヤだな…。
「言っとくけど、この口調は治らないから」
「それも訊いてる」
ちっ。
私がキライなタイプだ。
「取り敢えず、自己紹介をしておきましょうか。楠木 透(トオル)です。よろしくね」