白い薔薇


「っ!?」


転ぶと思ったのに、そいつは間一髪で避けた。


……こいつ、ただ者じゃねぇな。


絶妙なタイミングで引っ掛けた筈なのに、避けたなんて……。


声を発した、と思えば、男みたいな口調。


にも関わらず、可愛らしい声。


……すげぇギャップ。


なんか、顔が熱い。


だから、さっと顔を背けた。


ともなれば、隣にいる悠紀斗と目が合うわけで……。


にっと笑いやがった。


口パクで、「惚れた?」なんて言いやがったから、「馬鹿」とだけ返しておいた。


なんで、あいつに惚れるんだよ…。


んなわけねぇだろ。


ちらっともう一度あいつを見てみれば。


「………すー…すー」


……寝ていやがる………。
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