白い薔薇
No.3
「喫茶店…?」
種香は、ポカンとしながらその喫茶店を見つめている。
「そ。日本に来たときは、必ず来てた」
「ふーん」
中へ入ろうと、ドアを開ければ。
カラン、と音がなり、一人の女性が振り向いた。
「あら?」
「久しぶりだな、ミヤ姉」
「え……。夏輝!?」
こくん、と頷けば、ミヤ姉はパアッと顔を輝かせた。
「きゃーっ、久しぶり!二年振りかしら?」
嬉しそうに、ニコニコ笑うミヤ姉。
つられて、私も笑った。
種香の腕を掴んでいたことなんて、すっかり忘れ、無意識にいつもの席に座った。
「あらあら。二年振りでも、いつもの席は忘れていないのね?」