狼に近付いた兎
『いちか、知らなかったの?』

「だって、男女共学になるなんて…聞いてないし。


見てないし。男って書いてあるだけで、体が勝手に拒否反応を。」

パンフにも書いてあったんだろう。

ただ、見落としただけで。

いや、見避けただけで。


『とりあえず、遅刻しないようにしなよ。今どこ?』

「あー、もう学校の近くの橋。」

『私、門にいるから、先入らないでよ。』


はぁ、辛い。

実際、男の子なんて少ししかいないはずなのに、女子生徒の中に混じっているから目立つ。


「願いはただ一つ…。」


同じクラスではありませんように。
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