キミとの恋の課外授業

恵美がいなくなってから、あたしの隣に腰を下ろした省にぃ


「泣くなって…」


あたしの頭をポンポンと撫でた。

「泣いてないよ。目にゴミ入っただけだよ」


「そっかぁ?」


「そうだよ」



なんでか分からないけど。今は、省にぃに甘えたくない。

「あの子は?どうしたの?」


「うん…教室に戻ったよ」


そう言った省にぃの横顔は、どこか悲しそうな横顔で。


省にぃも、女の子を泣かせて辛いんだろうなぁって感じた。

「仕方ねぇよ。誰かが幸せになれば、誰かがどこかで悲しんだりする」

それはもう…どうする事もできないさと、省にぃは苦笑いしながら言った。

「うん。そうだね…」

恋は、どうして涙がでるのだろう?

誰かの涙を見る事が、どうしてこんなに辛いのだろう?


あたしが省にぃと、こうして2人でいる間も

きっと、さっきの女の子は、どこかで悲しい涙を流して泣いているんだろう。

だけど、あたしが彼女を慰める事はできない。


彼女にとって、省にぃの“彼女”であるあたしの存在は、きっと…認めたくない存在なのだから。



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