キミとの恋の課外授業
人違い、人違い。
心ん中で呟きながら…。それなのに…。
「久しぶりに会ったのに冷たいな、里沙」
後方の頭上から、まさかの言葉が聞こえてきた…。
まさか…ね?
今の聞き間違いだよね?
頭の中で、浮かんだ言葉を全否定。
「ねぇ!ヤッパリそうじゃないの!?」
あたしの腕を掴みながら、興奮気味に話す恵美の言葉も聞こえない!聞こえない!
そんな事。認めないし!有り得ないって!
振り向かないまま、固まっていると
「そんな無視しなくてもいいんじゃね?ドジ子」
ドジ子ぉ~!?
あたしの事を“ドジ子”と呼ぶ人間は、世界中で1人しかいない。
認めたくないけど…。この人…
あたしは、ゆっくりと振り返り、石澤先生の顔を見上げた。
「元気だったか?ドジ子」
そう言って、意地悪そうに不気味な笑みを浮かべる笑顔は
小さい頃、あたしがドジった時に「このドジ子!」って叫んだ…
「省にぃ…」
そのものだった…。