曇天



図星だった。

私は無言で頷く。

彼は話してみろとも言わずに、ただそうかと頷いて隣にいた。

そういう、彼は好きだ。何だか落ち着く。

だから私は彼の事が好きなんだなぁ、と思った。

そして思ったんだ。


“嫌いだよ”


そう言った私は、最悪だなと。

今、こんなに良い人が隣にいて、なのに自分のために好きな人さえも犠牲にした私は、最悪だなと。

そしてまた、私のせいで彼が傷つくかもしれないと言う事。



「……あのさ、」



唐突に言うと、何?と聞き返してくれる。

その顔は優しくて、何だか私は泣きそうになった。
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