Ghost lover
「ごめん。本当にごめん。恨んでも良いよ」


誰も僕を責める事はしない。悪いのは信号を無視した運転手であって、僕に責任はないと。

それでも僕は僕自身を恨んだ。ただただ涙と声が枯れるまで涙を流し続けたと思う。


おかげで回復の兆しを見せていたかに見えた体調も悪化し、熱も今までにない位の高さを記録した。

行きたかったのに、告別式には行く事は出来なかった。ベッドの中でただ一人熱と闘う僕。そんな時だった。


『大丈夫?』


ふと聞こえたのはもう二度と聞く事の出来ない筈の声で。熱が作った幻聴だと思った。

だってもう由乃はこの世界に存在なんてしないのだから。
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