Ghost lover
由乃と出会ったのは高校の入学式だった。
真っ直ぐな黒い髪が太陽の光に照らされて輝いていて、ぱっと見は控えめのお嬢様な印象だった。
同じクラスになった僕らは最初の内はただのクラスメイト。
会話なんてする事は殆どなかった。そんな僕達が親しくなった切欠は、
ある夏の日の事だった。全学年合わせても十人しかいないと言う美術部の僕は、
美術室へと一番乗りをし、描く準備をしようとした。丁度その時に何故か現れたのは由乃である。
「何か用で?」
「筆箱を忘れちゃって……って、遠宮(とおみや)君はどうしてこんな場所に?」
「僕、一応美術部だから」
これが多分僕らが初めて交わしたまともな会話だと思う。
由乃は自分が使っていた席に置き去りにされていた筆箱を見付け、そのまま帰るのかと思いきや。
真っ直ぐな黒い髪が太陽の光に照らされて輝いていて、ぱっと見は控えめのお嬢様な印象だった。
同じクラスになった僕らは最初の内はただのクラスメイト。
会話なんてする事は殆どなかった。そんな僕達が親しくなった切欠は、
ある夏の日の事だった。全学年合わせても十人しかいないと言う美術部の僕は、
美術室へと一番乗りをし、描く準備をしようとした。丁度その時に何故か現れたのは由乃である。
「何か用で?」
「筆箱を忘れちゃって……って、遠宮(とおみや)君はどうしてこんな場所に?」
「僕、一応美術部だから」
これが多分僕らが初めて交わしたまともな会話だと思う。
由乃は自分が使っていた席に置き去りにされていた筆箱を見付け、そのまま帰るのかと思いきや。