Ghost lover
僕は思わずそのお願いを受け入れていた。

そして彼女は翌日から毎日のように美術室に訪れるようになった。

描いている姿をじっと見つめられているのは、正直やりづらかったし、恥ずかしかった。

でも真剣にそれを見ている由乃に“邪魔だ”とかなんてとてもじゃないけど言えず。

気付いた時にはもうその事にすっかり慣れてしまっていた。

由乃がいるのは大抵他の人が来るまでのほんの数分。その数分が僕にとっては楽しみの一つと化していた。


「出来たよ」


何日か掛けてようやく出来上がった水彩の絵を由乃は目をキラキラと輝かせて見ていたのを、

一年以上経過した今でも色鮮やかに覚えている。
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