童話少年-NOT YET KNOWN-
鬼道は、少しだけ笑みを濃くした。
「高城の死は、何が原因だったか、覚えているか?」
「……え……? それは」
「あぁ……自分が起こした爆発で死んだ。少なくとも昔の仲間たちや、あの警察官は、そう思っているだろう。しかしな、それは間違いなんだよ」
鬼道が何を口にするか、彼のいやらしくつり上がったしわくちゃの口許が見えたときには、薄々わかっていたのに、誰も動くことはできなかった。
4人のうちの誰かならば、あるいは全員でも、半分崩れた階段を素早く駆け上がって、折れそうに骨張ったあんな年寄りを殴り倒すことくらい、出来たはずなのに、だ。
「高城の爆弾に細工をして、誤爆させたのだ」
他に何も聞こえない錯覚に陥った。
「私が」
もう、ただ鬼道を見上げているだけで、自分が生きていないような気さえしてくる。