童話少年-NOT YET KNOWN-


理由など、ごく単純なことだった。
高城のせいで、命より大事な研究を続けていくことができなくなったからだ。

高城は何度も、私に言ってきた。
そんな研究は今すぐやめろ、危険すぎる、と。
忠告にも警告にもなっていない戯言を、顔を合わせれば口にする。

最初は小さな小さな、胡麻粒ほどのハエよりも気にならなかったその言葉が、段々とうざったく感じるようになっていた。
もとはといえば、好きな研究をさせてくれるという条件で、スポンサーごと組織に収まった形だ。
なのに、恥ずかしげもなく、奴は私を裏切った。


私の研究の場は、ある日突然に奪われた。
警察が乗り込んで、実験に使っていた動物も、資料も、薬品も、道具も、設備も、すべて処分してしまったのだ。

あと少しで完成だったのに。
あと少しだけ成長させて、あと少しだけ丈夫にして、あと少しだけ知能を高めることが出来れば、私の長年の夢は叶ったのに。


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