童話少年-NOT YET KNOWN-


私を売ったのは、高城だった。

愛人を使ったのだ。
時々高城の隣で、伏し目がちに佇んでいた女がいた。

その女を使って、私のしていることや、研究所の場所を、警察に通報したのだと、すぐにわかった。
研究のために少しだけ法も犯したし、ある過程で……死人が出ることも、まぁあったから、日本の警察はすぐに動く。

しかしそうなることも想定していた私は、『鬼道』という名前は絶対に表に出ないようにしていた。
事実上の最高責任者──私の助手をしていた男だ──は逮捕され、バイオテロの研究グループが壊滅したということで事態は終息した。
高城たちのせいで、スポンサーからも見放され、私は必要最低限のものだけを持って、海外へ逃げるはめになった。

裏切り者に復讐することだけ、考え続けて、私は暮らしていた。


< 110 / 135 >

この作品をシェア

pagetop