童話少年-NOT YET KNOWN-


色々な地を転々としながらできる範囲で研究を進め、高城と女の居場所と、他に高城に加担した者たち──数人いることは、わかっていた──のことを、調べ上げた。


高城は……高城は、あろうことか、家庭を作ろうとしていた。
火薬の知識と志しか取り柄のない、頭の悪いテロリストがだ。
そんな男が引き取ったあの赤ん坊は少し成長していたし、一緒に暮らしている女は、もうすぐ子を産むらしい。

私はまず、女を片付けることにした。
組織の一員だったわけでもないのに壊滅に大きく関わり、自分は女としての幸せを手に入れた気になっているそいつが、あまりにも気に食わなかったからだ。

私が日本に戻ったのは、ちょうど子供が産まれた頃だったらしい。
しかし、命を狙われていることを感付いた女は、子供をどこかへやってしまった。
無駄な抵抗だ。
高城の血縁など、生きていても何の価値も、何の影響もないというのに。

女は最後の瞬間、高城の名を呼び、次に、「みーくん」と呟いた。


< 111 / 135 >

この作品をシェア

pagetop