童話少年-NOT YET KNOWN-


遺体は海に捨てた。
きっと今でも、骨が海底に沈んでいるんだろうな。


女が死んだことで、高城は私の存在を知った。
組織を壊滅させたくらいで安心するとは……本当に頭の悪い男だ。

高城は私を殺そうとした。
爆死させようと仕組んだのだ。
だが、私にはそんなこと、わかっていた。
私が細工を施した爆弾で、高城は私を殺そうとし、失敗して死んだのだ。

大馬鹿だ、救いようがない……大いに笑わせてもらったよ。


その頃には確か、高城が拾った子供は、ずいぶん大きくなっていたかな。
私を覚えているだろう?雉世よ。

実子のほうは養護施設から引き取られて、若い女と2人で暮らしていると聞いた。
自分の実の父親が犯罪者などと、少しも知らないらしい。
4歳で引き取られるまで名前もなかったのに、暢気なもんだな。


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