童話少年-NOT YET KNOWN-
病院の手術室のような室内。
壁際にずらりと並んだ棚には、瓶詰めのホルマリン浸け。
鬼のものなのか、爪や指、眼球はどれもいちいち巨大だ。
他にも細々と、薬品の瓶や実験用具のようなものが、散乱している。
部屋の所々に、乾いた赤黒いもの。
中心が一番ひどいように見える。
中央には、手術台。
大きな黒い体。
床に落ちた手。
太い指と白く鋭い爪。
上腕と離れた、肘から下。
左腕だ。
臭いは、酷くなっていた。
まだ、腐臭ではない。
「………………鬼………………」
ぴくりとも動かない。
死んだように。