童話少年-NOT YET KNOWN-
鬼の体を横たえてあるのは、大きな手術台だと思っていたが、どうやら4台のテーブルを並べて置いてあるだけのようだった。
それを囲むように、テーブルやワゴンが乱雑に置かれている。
その中の一つに、大きな洗面器のようなものが乗せてあった。
直径50cmほどもあるその入れ物に、黒い大きな丸太のようなものが突っ込まれていた。
直感的に、近づかないほうがいいと思った。
丸太に見えたそれには、ハンマーのような肘があって、サインペンが丸ごと入りそうな血管が浮いていて、人の頭ほどの手があって、紗散の手首並みの指があって、果物ナイフのような爪があったからだ。
床に落ちているものとは別の、“左腕”。
「きっと、接続に、失敗したんだよ」
そう雉世は言った。