童話少年-NOT YET KNOWN-


雉世はやはり元々の性格がそうなのか、最近は以前にも増して口うるさくなった。
今や涓斗もまとめて叱られるほどなのだから、相当だ。
「お母さんが2人……いや、雉世がお母さんなら涓斗はお父さんか!」なんて言った紗散が、両親から揃って白い目線を送られていたのは、去年の年末だっただろうか。

と、フードにぶら下がられたり腕にしがみつかれたりしていた弥桃が、助けを求めて彼らのところへ寄って来た。
孤児院生の中でもまだ就学前の子供たちが、ここには5人いるのだ。

「紗散、ちょっと、なんとかして」
「んー? なんともなんねーよ」
「ははっ、頑張れ頑張れ。ガキの相手は大変だということを思い知れ」
「……ほら、あの目付きの悪いお兄ちゃんが遊んでくれる。片手で2人は持ち上げれるよ。力持ち」
「弥桃!?」
「兄ちゃんおんぶー」
「おんぶー」

1人無関係とばかりに部屋の隅に座り込んでいた涓斗が、一気に5人の6歳未満に囲まれて、「ガキはお前ら2人で十分だっつーの!」と叫んでいる。
それでも何だかんだで上手く扱って、結局は懐かれるのだろう。


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