童話少年-NOT YET KNOWN-
警告と警戒
「お願いだから、もうこのことには関わらないで。忘れてよ」
泣いているのかと、一瞬、思った。
それ程までに雉世の、いつもただ流れるように発せられる優しげでどこか淡々と冷たい声は、震え、か細く掠れていたのだ。
そしてそんな雉世を見た時にすぐ彼らは、俯いて言う“この事”が何を指しているのかということと、かけた鎌が大当たりだったこととを、確信した。
尋ねる、というより、認めさせる口調で、涓斗が言う。
「やっぱり……滝川って、お前の親父たちんとこのテログループ、潰した奴なんだろ」
全て辻褄は合う話だ。
長年やってきた研究をあと一歩のところで邪魔され、場と権利を奪われた鬼道。
5年以上の時を経てようやく完成した“それ”で、自分の志を潰えさせた張本人に、復讐を果たしたのだ。