童話少年-NOT YET KNOWN-
雉世の言うことは正論だ。
相手は地位も力も権威も持った大人で、凶暴極まりない生物を作り出せる科学者で、元テロリストだ。
その上自分の興味を満たすためだけに倫理さえ無視して犯罪に手を染める、ある意味でひたすらに真っ直ぐな人間である。
雉世が情報を漏らせば命を狙われる可能性だって十分すぎるほどにある、彼が黙ってさえいれば、一先ず弥桃たちの安全は守られ、そして鬼道にとって雉世の危険度も格段に低くなるだろう。
しかし、それは冷静に、客観的に、論理立てて考えた場合の話だった。
「心配してるんだって言ってるだろ!? どうして分かってくれな、」
「悪い、雉世」
雉世の言う事は尤もだ。
だが、尤もすぎるのだ。
「俺だって、こいつらを危険な目に遭わせんのは嫌だよ。けど、お前だけ危険なのは、もっと嫌だ」
「……は……? 涓斗、何言っ」
「あんさ、雉世」
そんなに聞き分けよくなんて、なれるはずもなかった。
彼らはまだ、中学生なのだから。
「俺ら、はんこーきだからさ。大人にはとりあえずメンチ切るし、やるなって言われたらやるし、よけーなことに首突っ込む、ことにする」