童話少年-NOT YET KNOWN-
潰えてリフレイン
秋山弥生が行方不明になってから、三度目の日が暮れた。
相変わらず学校側の態度は気を遣っているようで逆に気に障ったし、涓斗が他の誰にも決して不安を見せないのも、昨日と同じだった。
けれど彼と伯母夫婦があれ以来ろくに眠っていないのも、食事といえる食事を摂っていないのも、3人は知っていた。
そして、1人の少女が姿を消してから2日と半日後、彼ら4人は、前日小さな小さな手掛かりを手に入れた、あの細い道に来ていた。
伯母夫婦には、弥桃の家でちゃんと食事と睡眠をさせるからと、言ってある。
意識を保つだけでも神経を消耗しそうな今の状況で、その申し出はありがたかったのだろうか。
よろしく頼む、何よりしっかり休ませてやってほしいと、何度も何度も言われたが、実際に現在弥桃の家で食事を摂っているのは、どこか落ち着かない様子の桃恵だけだった。
弥桃は桃恵に、紗散と雉世はそれぞれ院の人間に、似たような言い訳をして家を出てきたのだ。
そんなに簡単に、自分達の都合の良いように事が運ぶわけがないとは分かっていながら、藁にも縋る思いで、ひたすらに蛍光のぼんやりとした光を探し続けた。
ヤヨイが本当に、紗散が言うような行動を起こしたかは分からないし、ストラップが千切れたこともビーズが転がっていった方向も、もしかしたら偶然だったかもしれない。
それでも何もしないで待っているよりは、確証がなくても行動を起こした方が、どれだけいいか。