童話少年-NOT YET KNOWN-
対峙対峙対峙対峙
しかし、声は出なかった。
代わりに出たのは、
「きゃあああああぁぁぁぁぁぁあ!!!」
危険信号。
「え、なに!?」
「こっちだ!」
どう考えてもただ事とは思えない絶叫が、すぐ隣の通りから聞こえたことに気付くと、状況を理解するよりも早く脚は動いていた。
そして途絶えることのない悲鳴が、判断力の手助けをする。
「いやああぁぁ!! おに、……鬼よぉぉ!!!」
顔を見合わせる。
強張った表情が4つ。
しかし、慣れない恐怖と緊張と、絶望を感じたその中、例えば瞳の辺りに、僅かな高揚が見て取れた。
もちろんそれも4人分だ。
弥桃は走りざまに、電信柱の横に立て掛けてあったへこんだ廃材を掴んで、曲がり角に飛び込んだ。
「…………こいつが…………鬼……?」
鳥肌が立つのを感じた。