童話少年-NOT YET KNOWN-


鬼の大きな背中を追ううちに迷いこんだのは、弥桃たち3人が初めて鬼を目撃した工場裏だった。
きびだんご争奪戦のおかげで雉世の秘密の一辺を垣間見た、あの場所である。

それが鬼道の指示なのか、鬼は、4人を待ち構えるようにして、その空き地に立っていた。
金縛りのようにも感じられたあの赤い目は、今はむしろ闇より深い黒に見えるが、四肢を凍りつかせるほどの威力などない。

「…………どういうつもり」

弥桃は廃材を竹刀のように構え、涓斗は三段警棒を右手に持ち、紗散は頬にかかる髪を払って腰を低くした。
雉世が2つ3つ手にしたのは、弥桃たちも身をもって威力を知った、あの小型爆弾である。


火蓋など、最初から八つ裂きにされていた。


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