童話少年-NOT YET KNOWN-
『ぐあぁぁおおぉぉおおああぁぁ!!!!』
だらりと垂らしていた肘が、有り得ない方向に曲がっていた。
それは弥桃の体重を乗せて鋭く潰れたパイプを突き立てられたからで、肘にはまだそれが刺さったままだ。
血が飛び、噴き上がる。
痛みに呻き、叫び、咆哮を上げる鬼を、またしても激痛が襲う。
足許を転がっていたのは、風に煽られた枯れ葉でも新聞紙でもなく、それは速さと軽さと勢いを活かして素早く間合いに入った、紗散だったのだ。
『がああぁぁぁぁぁぅあ!!』
勢いのまま繰り出された蹴りは鬼本体ではなく、鬼の肘から依然突き出たパイプに叩き付けられた。
より深く、より広く、よりえげつなく抉り、穿つ。
「紗散、伏せて!!」
そんな声が飛んだ瞬間、とどめは再三の爆発。
突風と焦熱、そして衝撃で吹き飛んだパイプの潰れた先端は、最後にもうひと抉りとばかりに、さらなる痛みを与えて転がり落ちた。