海の果てに-君は海賊-
雑念を払うかのように頭を左右にブンブンふり、目の前にいるこの人に意識を集中させた。
フィ「私はフィン。フィンって呼んで。よろしくね、リウちゃん」
リ「あ…、よ、よろしくです…」
ふわりと笑うその姿はまたもや、直視できないほど眩しくて…
絶世の美女ってこんな人のことを言うんだろうな…なんてことを考えてみたりしていたら、ふと差し出された手。
リ「…?」
あたしがその差し出された手にキョトンと首を傾げると、フィンはクスッと肩を窄めながら、
フィ「あ~くしゅっ!」
なんて、可愛く手を振り回しつつ、そう言った。
リ「あ、はいっ!」
とりあえず促された通りにおずおずと手を差し出すと途端に強く握られる手。それは女性の握力なんて到底思えず、あたしは痛さに顔をゆがめながらフィンを見据える。
フィ「かッ」
か…?
つか、手痛い…
そんな的外れなことを考えていた刹那、あたしの視界は真っ暗になった。
フィ「可愛い~ッ!」
リ「ーーッ?!ふぬっ!」
視界が真っ暗になったのは、フィンがあたしに思いきり抱きついたせいである。