海の果てに-君は海賊-
霞む視界に移った艶やかな髪。光る刃物。
ヨ「ウリュウ…今更なんだ」
ウ「…んな、怒んなよ。ヨクに用はねぇんだし」
ヨ「…っ、んだと…!」
刃物を握るウリュウの手が力んだのを私は見逃さなかった。危ない!そう思った刹那、私はヨクの身体を思い切り抱きしめて左側に重心を寄せる。
当然、よろめくヨクの身体。ボスンと私のベットに尻餅ついたヨクは、なにをすると言わんばかりに私を見た。
リ「…やめて」
霞む視界のなかでしっかり、ウリュウと呼ばれるその人をとらえては、睨む。ヨクを庇うように手を左右に広げて。近づくなとでも表すように、精一杯睨みつけた。
ウ「…はぁ。今回は辞めとくか。…ヨク、次は容赦しねぇってガリュウに言っとけ」
…そう。私の頭を数回叩いたあと、ウリュウは私に背を向け歩き出す。
ヨ「待っ…」
ヨクが追いかけようと立ち上がった。それを私は止める。両手でヨクの右手をしっかり掴んで。