本物の愛
「……嘘､ついてるね。ほんとは違うって顔に書いてある」


あたしの右頬に手を添えて言った。

なんで分かってしまうの？

精一杯隠そうとしたのにな…。


「本当は…好きぢゃないの？彼氏さんのこと…」

やっぱり本当のこと言っちゃおう。

隠す意味はない。

別に隠さなくったって何も変わらない。

そう､何も変わりやしない。

本気で…。

本当に信じていた。

何も変わらないって。

何も…､関係ないって。


「……好き､ぢゃないみたい。好きぢゃないのに付き合うのって変だよね…。

でもあたし､本気で人を愛したことも､好きになったことも一度もない。

こんどこそはって色んな男の人に期待してみてもやっぱりその期待は裏切られてしまう…。


あたし本当に人を好きになれるかな？」


あたしの一番の悩みを知り合ったばかりの人に打ち明けていた。

でも､打ち明けたらすっきりした。


でも…､なんかいきなり真面目な話。

引かれないかな…？

「…あの､ごめんなさい。そーゆーの引くよね？ごめんね…忘れて」

あたしは恥ずかしくなってうつむいた。

その時右手が奪われる…。
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