本物の愛
「あ?篠宮唯人くんぢゃん(笑)
なんの用デスカ~?」
竹内は唯人をバカにしたかのように笑っていた。
なんかあたしまでも腹立つ…。
「紅香は俺の女だし。俺に傷つけられたくないならさっさと消えろ」
唯人は竹内の挑発に動じることもなく淡々と話す。
思わずかっこいいと思ってしまった。
無敵な表情をしている唯人に。
「は?俺に手出せるわけないぢゃん」
と自信満々に言っている竹内を。
唯人は右手で竹内の頬を殴っていた。
あまりの早さに驚いて声が出なかった。
そのまま竹内は地面に叩き付けられた。
唯人はにっこり笑って。
「人の女に手ぇ出す時はかなりの覚悟が必要だから。覚えといて」
そう言って、あたしの腕を掴んで外へと出た。
「ゆっ、唯人濡れちゃうよ!!」
焦ってそう言うと唯人はパンッとビニール傘を開いた。
そしてあたしの頭の上に傘をさした。
「はい、傘。濡れないように帰れよ」
さっきとは別人にいつもの優しい顔をしていた。
唯人はもう雨に濡れていて。