本物の愛
タクったら…。

あたしなんにもされてないのに。

目の前の男の人は平然としている。

「俺…?なんもしてないよ」

そう言って、立ち上がった。

そしてにっこりほほ笑みながら、あたしたちの方に向かって歩いてくる。


あ…、背、高いんだ。

男の人はタクの横で立ち止まり、ポン、とタクの肩に手を置いた。

そのまま表情を変えないで。

「手、出してないから安心してよ。彼氏サン」

そう言って、またゆっくりと歩き出した。

なにか思い出したように、また足が止まった。

「あ、俺の名前は篠宮 唯人(しのみやゆいと)。また会ったらよろしくね」

さっきと同じく優しくほほえんで言ってから屋上から出て行った。

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